第28回協議会(2021)


第28回 石西礁湖自然再生協議会を開催しました

 2021年7月27日(火)にオンライン(Webex)で「第28回石西礁湖自然再生協議会」を開催しました。協議会には、43の個人・団体委員・傍聴者の方(59名)が出席しました。

<新規参加委員の承認>
 はじめに新規参加委員の承認について審議され、次の1個人3団体の参加が、出席委員のカメラオンをもって承認されました。
〇個人
・佐川鉄平氏(一般財団法人沖縄県環境科学センター)
  推薦者:八重山漁業協同組合サンゴ種苗生産部会
〇団体
・一般財団法人沖縄県環境科学センター
  推薦者:八重山漁業協同組合サンゴ種苗生産部会
・ダイビングサービスSUNNYSUNNY
  推薦者:ダイビングサービスWAKE UP CALL
・ダイビングスクールあつまる
  推薦者:木村匡委員
 

<報告>
 各部会長と事務局から以下の2つの報告がありました。

(1)部会等の開催報告
 まず各部会長より、2021年7月5日と16日に開催された3部会について概要の報告がありました。

 学術調査部会の中村崇部会長(琉球大学)より、石西礁湖の現況を表すマップ作成報告と、作業チームにて底質を用いた蓄積型栄養塩類測定の新たなアプローチや水文モデルを用いた対策の検討についての報告がありました。
 次いで普及啓発・適正利用部会の大堀部会長(エコツアーふくみみ)より、石西礁湖の現況を表すマップの公開・周知方法や項目の検討、石西礁湖ポータルウェブサイト改修についての議論内容、行動計画2019-2023概要版の特にこども版の内容の検討についての報告がありました。
 海域陸域対策部会の吉田部会長(八重山サンゴ礁保全協議会)からは、石西礁湖の現況を表すマップの試行版の公開についてと、栄養塩類調査についての地点の検討について報告がありました。
 また、漁場再生ワーキングの小林委員(八重山漁業協同組合サンゴ種苗生産部会)より、漁場再生のロードマップ作りについて、種苗生産を基にした今後の取組報告がありました。


(2)環境省事業の実施状況報告
 環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、環境省事業の実施状況についての報告がありました。
 まず、自然再生専門家会議への参加報告があり、専門家から出された意見などが紹介されました。次に、近年は低密度を維持しているオニヒトデの駆除監視について、より効果的な実施となるよう手法を見直したことや昨年度の結果が報告されたほか、昨年度と今年度のサンゴ群集モニタリング調査の実施状況について、新型コロナウイルス感染拡大防止措置によって変更された点を中心に報告がありました。また、各部会長および副部会長の任期を延ばす対応についての説明、委員への部会登録のお願いがありました。

石西礁湖内各地点の白化率

 最後に今年度6月のスポットチェック調査による被度や白化率の現状報告が行われました。外洋または水路部分の潮通しの良い地点を中心に被度が増加しているものの、白化や2016年に迫る水温上昇もみられており、今後も引き続き注視していくとのことです。
 
 また、環境省石垣自然保護官事務所の山本上席自然保護官より、サンゴ群集修復事業について事業開始後初の報告がありました。今後、大規模攪乱が発生してもサンゴの回復力が著しく低下しない状態にすることを目標に、幼生をすぐに供給できる拠点を整備する試験を行っています。事業の内容は幼生供給拠点整備試験、白化抑制試験、藻類除去試験の3つを柱にしています。今後、時間的、空間的規模についても検討しつつ、内容を具体的にしながら引き続き試験を行っていくとのことです。

幼生収集装置の概要


(3)竹富島南航路整備事業について
 宮里委員(沖縄総合事務局石垣港湾事務所)より、竹富島南航路整備事業についての報告がありました。平成23年度から始めている航路の浚渫が10月末で終了し、その際に移設したサンゴについての移設方法や現在の状態が報告されました。また、石垣港内で行っている石垣新港地区旅客船ターミナル整備事業についても併せて報告がありました。今年度の3月末には岸壁の整備が完了し、それに伴う浚渫について濁りが出ないように工夫して今後も実施していくとのことです。

航路浚渫状況


<議題>
(1)石西礁湖の現況等を表すマップについて
 環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、各部会にて作業を進めていた「石西礁湖の現況等を表すマップ」についての説明がありました。マップは2種類ありますが、今回は広く一般の方に石西礁湖の現況を把握していただくための「一般公開用マップ」について、内容や公開についての検討が行われました。
 「一般公開用マップ」はこれまでのモニタリングデータを使用して作成し、過去と現在のサンゴ被度の比較を表したものです。赤色で過去の最大被度を示しており、上から緑色で2016年以降の平均被度を示しています。委員の方、一般の方だけでなく報道関係の方向けに一目で内容が分かるように、記載項目、被度など用語の説明、興味を引くため工夫を行った上で、まずは試行版としてリリースする方針となりました。次年度以降も随時更新される予定です。

一般公開用マップ案


(2)「八重山の海を守るフレンドシップ(仮称)」検討WG設立について
 特定非営利活動法人石西礁湖サンゴ礁基金の宮本委員より、新しいワーキンググループ設立の提案と取組紹介がありました。
 特に営農や畜産などの陸域影響の対策について、「自然再生全体構想の行動計画2019-2023」の取組の輪を八重山全体に広げるために、八重山のサンゴを守る行動や取り組みをされている、もしくは今後予定している団体、事業者、個人を広く募集し、情報交換等を行い、行動を広げていくことをコンセプトとしています。
 その活動の一環として農地の土壌保全のガイドラインについて紹介があり、赤土や栄養塩対策の営農法の報告や、対策を行うことによる対費用効果の説明がありました。協議会内での役割について質疑応答の後、本協議会で「八重山の海を守るフレンドシップ(仮称)」検討WG設立が承認されました。

農地の土壌保全のガイドラインより営農対策


(3)石西礁湖ポータルウェブサイトの改修について
 環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、石西礁湖ポータルウェブサイトの改修について説明がありました。
 第23回協議会で決まった新しい検討体制の反映や、長年の活動による蓄積情報へのアクセス性の向上を目的に、修正案のサンプルページが作成されています。新しいウェブサイト案のURLを委員に公開し、意見をもらうことになりました。(1)の現況把握マップや取り組みシートなどが今後追加される予定です。


(4)行動計画2019-2023概要版について
 引き続き環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、行動計画2019-2023概要版の作成について説明がありました。
 概要版は日本語版、英語版、こども版の3種類が試作されています。こども版については、過去に作成した「豊かなサンゴの海を守るために」を基に、行動に移したくなるようなページを追加する予定です。電子版も作成し、ポータルサイトへの掲載を目指しており、表示形式や内容について意見をもらい、修正・追記をしながら概要版を作成することで了承されました。


(5)自然再生施設の撤去と育成中のサンゴ活用について
 引き続き環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、ヨナラ水道自然再生施設の撤去と育成中のサンゴ活用について説明がありました。
 施設の老朽化と生育サンゴの成長により、施設全体がかなり不安定な状態になっています。中には波でひっくり返り、遠くへ飛んで行ってしまった台もあり、今年度中の撤去が検討されています。健全なサンゴについては、委員の意見をもらいながら環境教育などの二次的な活用ができないか検討したいとのことです。

施設と付着しているサンゴ


<取組発表>

(1)ベルモントフォーラム国際公募プロジェクトCOAST Cardの紹介ならびに協働のお誘い
 東京工業大学の灘岡委員より、ベルモントフォーラム国際公募プロジェクトについて取組紹介がありました。日本を含め5か国で行っているプロジェクトで、石西礁湖では八重山全体で一丸となって取り組むために、地元を主体とした共同体制を作り、社会経済的側面を含めた沿岸生態系の保全の評価を行っていきたいとのことです。協議会やワーキンググループとの連携について質疑応答が行われ、今後も情報交換を行っていくことになりました。

<その他>
  事務局より、今年度の今後の協議会スケジュール案が説明されました。可能であれば対面にて12月から1月にかけて作業チーム、各部会を開催し、2月に第29回協議会を行う予定です。また、11月9日に自然再生協議会全国会議が石西礁湖をホストに開催される予定です。
  エコツアーふくみみの大堀委員より、屋良部半島大崎におけるJTBによるポンツーン設置の話題提供がありました。動向を注視しつつ、普及啓発・適正利用部会と事務局の方で相談しながら情報整理を行うことになりました。
  一般財団法人自然環境研究センターの木村委員より、協議会における長期目標の達成度合いの評価を行うこと、現状で取り組みが乏しい課題や緊急の課題を共有すること、取りまとめを協議会で行うことについて提案がありました。

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