第29回 石西礁湖自然再生協議会を開催しました
2022年2月25日(金)にオンライン(Webex)で「第29回石西礁湖自然再生協議会」を開催しました。協議会には、38の個人・団体委員・傍聴者の方(47名)が出席しました。
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参加者の皆様 |
<話題提供>
はじめに沖縄気象台の河原委員より、テーマ「海から見る、沖縄の未来?気候変動はもう起こりつつある-」の発表がありました。地球温暖化の進行と原因、海面水位の上昇、海洋酸性化についての説明がありました。また、沖縄の気候変動についての報告や、海況監視予測システムについて紹介されました。
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河原委員による発表の様子 |
<報告>
各部会長と事務局から以下の2つの報告がありました。
(1)部会等の開催報告
まず各部会長より、2022年2月10日、14日、18日に開催された3部会について概要の報告がありました。
普及啓発・適正利用部会の大堀部会長(エコツアーふくみみ)より、石西礁湖ポータルウェブサイトの改修案についての意見・検討内容、行動計画2019-2023概要版の特にこども版の内容の検討、「適正利用」に関する意見交換の様子について、報告がありました。また、部会主催で行った量から質への転換をキーワードにしたワークショップの概要が紹介されたほか、大堀委員からは併せてサンゴ学習ワーキングの活動進捗も発表がありました。
次いで学術調査部会の中村崇部会長(琉球大学)より、石西礁湖の現況を表すマップ作成報告と、作業チームにて底質を用いた蓄積型栄養塩調査の結果とモデル作成、今後の方針について報告がありました。
海域陸域対策部会の吉田部会長(八重山サンゴ礁保全協議会)からは、オニヒトデの確認状況及び対策、「守る」に関する意見交換の様子について報告がありました。
最後に、石西礁湖サンゴ礁基金の宮本委員から八重山うみしまフレンドシップのワーキングについて活動の進捗報告がありました。
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宮本委員による説明 |
(2)環境省事業の実施状況報告
環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、環境省事業の実施状況についての報告がありました。
まず、オニヒトデ監視駆除と普及啓発活動の実施の報告がありました。オニヒトデは1月末時点で、昨年同様、局所的な発声はあったものの全体としては健全な様子とのことでした。また、小中学校と連携した環境学習や自然体験プログラムも引き続き実施されました。
次に、2021年のサンゴ群集モニタリング調査の概要や、スポットチェック調査による被度や白化率の現状報告が行われました。サンゴの大規模白化が起こった2016年ほどの高水温の日は少なかったですが、今年度は30℃に近い水温状態が続きました。外洋または水路部分の潮通しの良い地点を中心に被度や定着量が増加しているものの、同時に白化割合も増加しており、今後も引き続き注視が必要とのことです。
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2021年度のコドラート調査の結果 |
最後に、環境省石垣自然保護官事務所の山本上席自然保護官より、令和3年度4月より実施しているサンゴ群集修復事業についての報告がありました。大規模攪乱が発生してもサンゴの回復力が著しく低下しない状態にすることを目標に、幼生供給試験、攪乱要因対策試験、藻類除去試験の3つを中心に行っています。今後、試験対象とするサンゴの種類や、時間的、空間的規模についても検討しつつ、引き続き結果報告及び試験を行っていくとのことです。
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幼生収集の様子 攪乱要因対策試験の状況 |
(3)モニタリングサイト1000サンゴ礁調査速報
環境省生物多様性センターの中村仁保全科長より、モニタリングサイト1000サンゴ礁調査についての報告がありました。2021年度に実施したスポットチェック調査による概要及び調査結果について報告がありました。サンゴの大規模白化が起こった2016年からサンゴの被度は回復しており、今年度の白化率の高さと比較すると死亡率は低いため影響は軽微でした。結果のとりまとめは随時モニタリングサイト1000のウェブサイトに掲載するとのことです。
モニタリングサイト1000 ウェブサイト:https://www.biodic.go.jp/moni1000/tideland.html
(4)石西礁湖の「現況把握マップ」について
環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、石西礁湖の「現況把握マップ」についての報告がありました。確定したマップは今年度の確定版としてポータルウェブサイトで公開し、また、各委員のウェブサイトやSNSによる周知への協力の呼びかけを行いました。「サンゴ礁健全度マップ」は、引き続き内容や表現方法について検討していくとのことです。
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ポータルウェブサイトで公開する「現況把握マップ」 |
(5)石西礁湖ポータルウェブサイトのリニューアルオープン
引き続き環境省石垣自然保護官事務所の大嶽自然保護官より、石西礁湖ポータルウェブサイトの改修についての報告がありました。実施したアンケート結果に基づきウェブサイトの修正やページの追加を行い、リニューアルオープンをします。今後も引き続き改良を行うとのことです。
(6)サンゴ礁生態系保全行動計画2022-2030について
環境省自然環境局自然環境計画課の高橋啓介課長補佐より、サンゴ礁生態系保全行動計画2022‐2030についての報告がありました。行動計画をより良いものにするためにパブリックコメントの募集をしました。行動計画の達成状況の評価を定期的に見直し、2030年度に終了時の評価を実施するとのことです。
<取組発表>
(1)モデル開発および河川水・地下水の定期モニタリングについて
東京工業大学の中村隆志委員より、モデル開発および河川水・地下水の定期モニタリングについての取組発表及び協力の呼びかけがありました。石西礁湖における栄養塩や赤土などの陸域からの負荷に着目し、サンゴ群集への影響を精査することと、対策目標を示すことを目標にモデルを開発していくとのことです。また、定期的な陸域負荷・地下水の調査のため、古井戸などにおける調査の協力者を募集中です。
<その他>
事務局より、来年度の協議会スケジュール案が説明されました。例年通り作業チーム、学術調査部会、普及啓発適正利用部会、海域・陸域対策部会、協議会の開催という流れを、1年で2サイクルします。また、2年延期になっている自然再生協議会の全国会議を11月よりも早い6月に開催する予定です。次回の第30回の協議会では、部会長副部会長の選出があります。
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