第35回協議会(2025)


第35回 石西礁湖自然再生協議会を開催しました

令和7年3月10日に、第35回石西礁湖自然再生協議会が開催されました。個人、団体、国や地方の機関などの計46委員が出席し、傍聴等を含め64名が参加しました。

会場の模様


1.開会
 環境省沖縄奄美自然環境事務所の北橋所長、内閣府沖縄総合事務局那覇港湾・空港整備事務所の宮里港湾空港技術対策官、吉田会長より開会挨拶があった。


2.第10期新規参加委員の紹介
 個人2名、団体・法人3団体が新たに参加を希望し、出席委員の過半数の賛成により承認された。
 〇個人:荒井 忠行氏(一般財団法人自治体国際化協会)
     北野 裕子氏(一般財団法人自然環境研究センター)
 〇団体:Upside合同会社
     一般社団法人サステナブルアイランド石垣
     株式会社フジタ 技術センター

3.議事
(1)持続的海域利用ワーキンググループの設置について
 和泉委員より「持続的海域利用ワーキンググループ」の設置が提案され、出席委員の過半数の賛成により承認された。本ワーキンググループ(以下WG)では、行政組織、マリンレジャー事業者団体、観光協会等が構成要員となり、石西礁湖及び周辺海域での持続的海域利用の実現に向けた活動を行う。当面の主要な取組として、「石西礁湖自然再生全体構想行動計画2024–2028」における重点項目である「石西礁湖における持続可能な観光利用ガイドラインの作成と活用」の推進を行う。

4.報告
(1)環境省自然再生事業の報告
・石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査
 いであ株式会社沖縄支社の石森委員より、環境省が実施する石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査結果及び参考情報として竹富南航路等での2024年のサンゴ白化状況が報告された。2024年のサンゴ白化現象の影響に関する前回協議会後の結果として、12月のスポットチェック調査では白化率が65.5%、死亡率が25.5%となり、9月調査時と比較してサンゴの死亡率が増加した。その他、サンゴ定着量調査結果などが報告された。石西礁湖では2022年、2024年と大規模白化が連続しており、今後も石西礁湖のサンゴが回復するか予断を許さない状況とのことであった。

・石西礁湖サンゴ群集修復試験
 一般財団法人沖縄県環境科学センターの岡田委員より、環境省が実施する石西礁湖サンゴ群集修復試験の進捗状況が報告された。本事業では白化現象などの大規模撹乱が発生してもサンゴの回復力を維持するための対策として、幼生供給拠点の整備や高水温適応策などを試験している。今年度実施した高水温適応策としての遮光試験では、遮光により白化の進行が少ない地点が見られた。また、7月上旬に崎枝湾の深場へ移動したサンゴは、白化の影響をほとんど受けなかったとのことであった。

(2)部会の活動報告
 今年度第2回(通算第10回)の海域・陸域対策部会、普及啓発・適正利用部会、学術調査部会について、各部会長より活動報告が行われた。
 令和7年2月19日に開催された海域・陸域対策部会では、部会の活動に関連する委員の取組の共有や、環境省グリーンワーカー事業、竹富町における循環型農畜産業の推進に関する報告が行われた。行動計画の重点項目1「陸域負荷の低減」に関しては、成果指標である、
 @下水道および浄化槽の処理人口増加
 A圏内の堆肥生産と利用
について、関係機関の情報提供によりベースとなる数値の収集整理が行われたことなどが報告された。
 令和7年2月19日に開催された普及啓発・適正利用部会では、部会の活動に関連する委員の取組の共有や、「持続可能なマリンレジャー勉強会 in 石垣島」の開催報告が行われた。行動計画の重点項目2「石西礁湖における持続可能な観光利用ガイドラインの作成と活用」については、ガイドライン作成の主体となる持続的海域利用WGが立ち上げ予定であり、次年度にガイドライン骨子案を作成する計画となっているとのことであった。重点項目3「八重山地域の子どもたちへのサンゴ学習の推進」については、今年度のサンゴ学習実施状況などが成果として報告され、次年度はサンゴ学習実施校や講師育成を推進するとともに、既存の海洋学習等にサンゴ学習の要素を取り入れるサポートを行っていく計画とのことであった。
 令和7年2月20日に開催された学術調査部会では、部会の活動に関連する委員の取組の共有や、自然再生事業である石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査や石西礁湖サンゴ群集修復試験の実施結果に関する報告が行われた。また、重点項目の進捗に関する情報共有と議論が行われた。令和6年12月17日に開催された学術調査部会作業チームでは、石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査で得られたデータの解析について議論が行われた。今後の優先的な検討テーマとして、サンゴ白化が起こりやすい場所の特定、大規模撹乱から回復しやすい海域としにくい海域の抽出、石西礁湖のサンゴの種多様性の変化が挙げられた。

(3)ワーキンググループの活動報告
・りくとうみWG
 安元剛委員(北里大学)より、令和7年3月7日に開催された今年度第2回の「陸と海のつながりWG」の活動報告が行われた。WGには約50名が参加し、関心の高さが伺われた。WGでは6名の研究者より、石西礁湖の陸域負荷とサンゴ礁保全に関連する最新の研究や取組が報告された。
 WGの活動報告と関連し、安元剛委員による底質リンに関する研究内容が紹介された。底質リンが直接サンゴに与える影響に加え、底質の微生物層を変化させることによるサンゴへの影響が明らかになりつつあるとのことであった。

(4)委員の取組報告および話題提供
・委員の活動報告(取組共有シート)
 事務局より、委員より提出された今年度の活動報告(取組共有シート)について報告があった。30委員より報告があり、報告内容は重点項目の進捗報告等に活用された。委員の取組を知ることで今後の連携のきっかけとなることが期待される。

・石垣市サンゴ保全庁内連携チームの活動報告
 石垣市環境課の上地委員より、石垣市サンゴ保全庁内連携チームの活動が報告された。サンゴ保全関係者研修などの現場視察、多数の関係団体との意見交換、サンゴ礁保全につながる庁内横断施策としての休耕田活用プロジェクトの提案などが行われた。

・第4回やいまSDGs シンポジウムの開催報告
 八重山ローカルSDGs推進協議会の藤本氏および当銘氏より、2024年11月に開催された「第4回 カープレミア×やいまSDGsシンポジウム」の開催概要が報告された。合わせて、日本DAO法を活用し、サンゴ礁保全を価値とする八重山での地域循環共生圏づくりの構想とアプリ”aniMa”が紹介された。

5.特別講演
「素晴らしいサンゴ礁を未来へ」 土屋 誠氏(石西礁湖自然再生協議会前会長)
 本協議会の初代会長として、2006年より18年間に渡り会長職を務められた土屋氏より、本協議会の将来へ向けたメッセージとして特別講演をいただいた。
 講演では、これまでの協議会の歩みとして、初期の意見交換の状況、これまでに策定された計画や石西礁湖の現状を伝える冊子等、2016〜2017年に行われた取りまとめなどが紹介された。協議会の現状として、設立当初は若手の漁業者と意見交換をしてきたが、最近はそのような機会が得られていないことなどへの指摘がなされた。協議会の今後に対し、以下の3つの提言があった。
 @より広い情報発信と記録集を作成する
 Aこれまでの議論を総合解析し、再生のための道筋を立て実践する
 Bサンゴ礁の保全活動を石西礁湖から世界へ発信し、地球環境の保全に貢献する

土屋前会長の特別講演

   講演後、吉田会長よりこれまでのご貢献への感謝状が贈られた。
感謝状の贈呈

6.閉会
 中村副会長から閉会の挨拶があった。


配布資料

議事次第 pdf議事次第、資料一覧
委員名簿 pdf石西礁湖自然再生協議会 第10期委員リスト
資料1 pdf第10期石西礁湖自然再生協議会 新規参加希望者の紹介
資料2 pdf持続的海域利用ワーキンググループの設置について
資料3-1 pdf石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査 今年度調査結果概要
資料3-2 pdf石西礁湖サンゴ群集修復試験報告
資料4 pdf部会の活動報告
資料5 pdf委員の活動報告(取組共有シート)
資料6 pdf石垣市サンゴ保全庁内連携チーム 2024活動報告
資料7 pdf八重山ローカルSDGs 推進協議会資料
参考資料1 pdf「石西礁湖自然再生協議会」の会議のルール
参考資料2 pdf石西礁湖自然再生協議会規約
参考資料3 pdf第34回石西礁湖自然再生協議会 議事概要

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